「生まれた日数の差は縮まらないわよ?」
「でも、年齢差は縮まるんです。
数字で示される、まごうかたなき客観的事実じゃないですか」
ダメだ。
この子、かわいい。
わたしは手を伸ばして、彼の頭をぽんぽんと叩いた。
「年齢差が縮まるのが3ヶ月間ということは、きみの誕生日は12月なのね? 何日?」
まつげの長い目を見張って、彼は固まっている。
ちょっと触れただけでこうなるんだから、やっぱりかわいい。
「に……24日、です」
ああ、だから誕生日を他人に言いたくなかったのね。
秀才で毒舌で変わり者の理系少年にあまりにも不似合いな、ロマンチックな日。
「お祝いしてあげる」
「……大人の女性は、24日、別の予定があるんじゃないんですか?」
「きみの誕生日以外の予定、入れちゃっていいの?」
ダークグリーンの目に、必死な光。
「イヤです」
その瞬間、抱きしめたくなった。



