雑誌を買ってお店を出る。
素朴なイルミネーションの通りへと歩き始める前に、わたしは彼に大きな紙袋を差し出した。
「はい、プレゼント」
「え? どっちの、ですか?」
「誕生日のほうに決まってるでしょ。
今日はまだ24日。
サンタさんがプレゼントをくれるのは、25日になってからよ」
紙袋を受け取りながら、ダークグリーンの目がキラキラしている。
「ありがとうございます。これは、服?」
「そうよ。駅かどこかで、今すぐ着替えてきて」
「今すぐ?」
「当然でしょ。
その格好でクリスマスイヴのデートをするつもりだったのかしら?」
グレーの制服の第2ボタンを、ボルドーのマニキュアの指先でつついてみる。
彼の形のいい唇が開かれて、わたしに反撃しようとして失敗して。
「……着替えてきます」
「素直でよろしい」
きまりが悪いのを隠すときの、いじけたような怒ったような、唇を軽く尖らせた横顔が、かわいくて好き。