「数学や物理のパズルの全国大会、賞金が意外といい値段だって知ってます?」
自分のこめかみをトンとつついて、ウインク。
何でそんなポーズが似合うのよ、きみは。
「ありがとう。嬉しい」
「どういたしまして」
去年の誕生日に自分で買ったピアスを外して、もらったばかりのそれを付ける。
ひんやりとした重みが揺れる感触。
彼の指が、そっと、わたしの耳元の髪をすくい上げた。
「どう? 似合う?」
「振り子の動線はやっぱりきれいです」
「誉めてるつもり?」
彼に悪気がないのはわかってる。
いちいち笑ってしまう。
「あなたはもっと明るい色が好きなんだと思ってました」
「この色は一目惚れだったのよ。
きみの目の色と似てるから」
彼のダークグリーンを見つめて微笑んだら、薄暗がりの中でもハッキリと、彼が真っ赤になった。
やけどでもしたみたいに、ビクッと引っ込んでいく臆病な指。
はい、わたしの勝ち。



