CHEEKY X'MAS―愛しの生意気エイティーン―



「案外、それっぽい夜景でしょ?」


私立の高校と大学がいくつかあるだけのこの町のイルミネーション。

このカフェバーからは、思いがけないくらい都会っぽく見晴らせる。


「ただの白色LEDなのに」


ポツリとつぶやく横顔。

ソファで隣り合うようなお店に一緒に来たのは初めてで、この距離は新鮮だ。


「そうね。ただの電気」

「なのに、きれいだと思えるから不思議です」


きみのその感性こそ、ちょっと不思議よ。


お店の料理は創作イタリアンで、今週はクリスマス限定ディナーがおすすめとのことだ。

迷うことなく、2人用のコースを注文する。

飲み物は、彼に合わせてジンジャーエール。


「ハッピーバースデー」


カチンとグラスを合わせる。

喉にじゅわりと染みる、甘い生姜の香り。

くすぐったそうな顔をしてグラスを置いた彼は、ポケットから小さな包みを取り出した。