五問目を解いた。



残すところあとひとつだ。



と言っても、たぶんあるだろうとおもっているだけだ。



ひかるは、昔から、本にカモフラージュされた小物入れのなかに大切なものをいれる。



あける。



やはり、あった。


「え、えーと………?」


私は、最後の封筒を手に取って、止まった。



        ・・・・・・・ ・・・・・・
その、封筒には『シールが貼られ、封がしてある』。



なぜ、この封筒だけ?


他の封筒を確認する。


シールはない。


いや。


わずかだが、シールをはがした跡があった。



つまり、封筒の内容を第三者が見たのだ。


さらに、見た目が本の小物入れにしまうことは親しければ、家族だって知っている。



つまり、ひかるとは親しくない第三者が、ここに来て封筒を開けたのだ。



もしかすると、告発を恐れたイジメの加害者の誰かかもしれない。



逆に、それぐらいしか部屋をあさる理由を持った人が思い当たらない。


「…………。」




そんなにビビるなら、最初からやらなきゃいいのに。


そんなつもりじゃなかったとか、

じゃあ、どんなつもりならイジメていいと言うのだろう。



悔やむことは、後でいくらでもできる。

でも、後で命は戻らない、


あぁ。


このどろどろとした感情は、怒りだ。


私は、今、怒っている。


人の大切なものを奪っておきながら、何の罰も受けずにのうのうと過ごしていることに。


悔しい。


「………。」


いらだって、本棚の枠を叩く。



許せない。

仕返ししたい。


復讐だ。

ひかると同じ、いや、それ以上の目にーーーー



「ーーーぶへっ!!?」





突然、ほほを殴られた。





熊に。




「………えーと」



もちろん、私が本棚を叩いたせいで、上に乗っていたぬいぐるみが落ちてきたのだけれども。


「ぷっ」


自分のまぬけさに思わず、吹き出す。



まるで、ひかるに叩かれたみたいだった。

『落ち着いて』と。


そうだ。

ひかるは、手紙で『楽しんで』と言っていた。

楽しまなくて、どうする。



怒りもある。

でも、おそらく、ひかるはそれを望んでいない。




私は、最後の封筒を開けた。







封筒には、『Final』と書かれている。

つまり、『最後』だ。




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『如月に走り出した、

 毛利の矢は束ねて折れず、

 海王星を見下ろす。

 ならぶ虹の色は、

 モーセの戒め』


 2=さ  3=よ  5=い  8=う
 9=お 10=ら 12=し
 A=あ  B=な  C=め  D=た
 E=ま

『数をよむ』

答=□□□□□

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