駅でいつものように家に帰るつもりで、電車を待っていました。そしたらちょっと眠気が襲ってきて、うとうとしてしまいました。

そしたら見知らぬ部屋で目が覚めました。そしてそこには見知らぬ男がいました。

そうかと思ったら、突然怪物が襲ってきて、倒されました。どうしてこんな展開になっているのと私が尋ねると、”異世界”だからという返事が返ってきました。





「ーーーーーーーーーってそんなわけあるかーーーッ!」
「あるんだなぁ、これが。」

私は思わずちゃぶ台をひっくり返すような勢いで、声をあげると、クスクスと笑った彼がそこにいた。

場所は変わって、ここは昨晩のモンスターが倒れて倒壊した部屋ではなく、明るい日差しの差し込んだ、ダイニングルームである。そこの長テーブルの端で、がらんとした空席を尻目にその男はまた紅茶を優雅に愉しんでいた。

広くがらんとしたダイニングルームには、その3分の1ほどの面積をも占める長テーブルが広々と横たわっている。ダイニングクローズは真っ白、程よい日光を通したカーテンも真っ白で、目に眩しい。それに時折視界に小さく入るのは、ピンクの花が飾られた部屋の隅の花瓶と、ちょっとこの部屋に不釣り合いなほどの重厚な造りの本棚が2つだけで、昨晩の部屋のこってりっぷりに比べると随分シンプルだ。

視界を彩るのは主に気持ちの良い白。その一方でほわんと嗅覚をくすぐるのは、僅かにベルガモットを含んだ紅茶の香りだ。

男の細く長い指から注がれる紅茶は、また昨晩と同じものだろうか。この男はまたこんな感じで、私の心境などいざ知らず、紅茶を飲み耽っているのだ。



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昨晩色々、超展開がありすぎて、私は魔物が倒れたて、ここが異世界だと聞いた後すぐに意識を失ったらしい。気がつくと、そこは見知らぬベッドの上で、例の男に「やあ。調子はどうだい?」とにへらと笑って挨拶された。

一晩眠りについたというのに、相変わらずの見知らぬ場所と、一応昨日見知った男。この二つの結果から、私は観念したようにため息を吐いた。

「異世界転移とか…現実にあるものなのね。」

ボソッとつぶやいた言葉は、男の耳に届き、クスリと笑った。

「何がおかしいのよ。」
「いや、やっと納得したんだなって。」
「納得なんてしてないわよ。ただ、それ以外に今のところ説明がつかないから…そういうことにしておく。」




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こういう朝のやり取りを経て、現在の時刻は昼過ぎ。私たち二人しかいないのに、無駄にでかい長テーブルで、この男はまたティータイムを始めたばかりの時間だった。