Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】

スッ…

目を力一杯閉じたまま、顔を少しだけ正面に向ける。

神様?
あこが開けた目の先には、何がありますか?

そっと瞼の力を緩めた。
目を開ける。
ゆっくりと時間が動きだす。

―――!!!
『…あっ…ハッ…』

目に飛込んできたモノ。

それは………


冷たい、冷たい、雪の中から…
弱々しく、でも、力強く。
真冬の月と星を目指して上に伸びている一輪の花。

小さな小さな…一輪の花。

その花は、20年間生きてきたのに、初めて目にする花だった。

三枚の小さな真っ白のうつ向く様に垂れ下がる花びら。

真ん中に緑色の芯。

20cmくらいの小さな小さな、可愛い花だった。

そして、その花より数cmずれた横には、小さな白いプレートが土に刺さっている。

……!

あこは、その小さなプレートを見て目を疑った。

『う…そぉ…ッ…』

真っ白なプレートに黒のマジックで弱々しく書かれた…文字。

『何…、どうして…っ…ッッ…グスッ』

ガクンッ――!

あこは、涙を一粒。
大きな目から落としてその場に…
花壇の前に座り込んでしまった。

書かれていた文字…



《あこの花》

『ヒッ…ウゥッ…どうしてぇッ…?』