Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】

サクッ…サクッ…

今日の雪は少し固いみたい。
ブーツのヒールが刺さる音が響く。

『フゥ…』

一度大きく深呼吸をして公園の問をくぐり抜けた。

サクッ…
真っ白なブランコの椅子の部分には真新しい雪が積もっている。

このブランコの奥には…
ギュギュッ…
ブランコの横で、あこは足を止めてしまった。

やっぱり…怖い。
ここを越えたらあこは…
あこの気持はどうなってしまう?

脳裏にケンの悲しそうな顔が浮かんだ。

足が石になったように重い…

あと一歩が踏み出せない。

「行かないとだめ。
絶対に後悔する。」
エリの言葉が頭を駆け抜けた。


後悔は…したくない。
一歩…二歩…三歩…
下をうつ向いて自分の足元だけを頼りに前に進む。

『…ぁっ…』

石…
花壇を縁取った不揃いな石のはじっこが見えた。

ピタッ…
足を止めた。

『スゥゥ…』
冷たい冬の空気を大きく吸い込む。

ギュッ…
目を力一杯閉じた。