Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】

『あ…まだ。
ごめんなさい…』

違うんだよ、ケン。

エリと約束なんてしてないんだ。

ケンの一番の不安要素。
あっちゃんとの約束なの。
嘘ついて…ごめんなさい。

「……?
あこ…何処いんの?エリは?一緒にいるんだろ?」

ケンの優しい声が焦りの声に変わる。
心配が確信に変わったのを意味する。

『…ごめんなさい。』
ケン、ごめんなさい。
場所は言えません。
ごめんなさい。

だって…
言ったら、ケンは来る。
必ず来る。
息を切らして…あこを探すでしょ?

「あこ!今…何してるんだよ…
何処にいるんだよっ…
頼むから…離れて行かないでくれよ…」

ケンは、気付いてたんだよね?

あの時からあこがケンから少しずつ離れて行ってた事に…

ごめんね?

『ごめんなさい。
必ず、連絡するから!』

約束を…
あっちゃんとの約束を果たしたら、必ず連絡するから!!

必ず、ケンの元に戻るから!
だから…待ってて!!

…ピッ。
あこは、一方的にケータイの通話終了ボタンを押した。

カタンッ…
ベンチから立ち上がり、約束のミニ公園へ向かった。