「………!!
どうしてッ!?…ケン?
だったら、それは違うよ。行きな!」

『でもっ…行きたいけど…怖いんだよ…』

カクッ…
あこの頭が垂れ下がってしまった。

エリは今にも潰れてしまいそうなあこを優しく抱き締めた。

エリには分かった。

あこは本当は行きたがっている事。

まだ彼を忘れていない事。

でも、ケンがあこの中で大きな存在になってしまった事も。

「行かないとだめ。
絶対に後悔する…私はそんな気がしてしょうがないよ?あこ…」

エリ?

今になれば、あの日、あこはあの場所へ行って良かったと思うんだ。

エリの言う通り、今頃、後悔を背負って生きていると思うから…


「あこ!帰ろうぜッ?」

いつもと同じ笑顔であこを迎えに来たケンは、何も知らない。

あことあっちゃんの最後の約束を知らない。

『…あっ…ごめん…
今日ちょっと…』

ケンの目を見れない。