Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】

恋人…なんだから。

そっと、引かれる用に手をにぎられ、ケンの住むアパートへ向かった。
ケンは一人暮らしをしている。

ケンの高校卒業と同時に、ケンの家族は、お父さんの転勤の為に隣の県へ行った。

大学進学が決まっていたケンだけが残った。

2階建ての新築のアパート。
一階の一番左の一角はフラワーショップが入っていた。
ケンは、このフラワーショップで週3日バイトをしている。

ケンの部屋は二階。

「ここ…俺の部屋。」
カチャリ…
鍵を開けて中に入る。
『お邪魔しまぁす…』
パチッ…
ケンが電気を付けた。

…………!!
『…わぁぁっ☆
ケンて、白が好きなの??』

眩しい。

ソファーもベッドも、カーテンも、カーペットも…全部白で統一された部屋。

あこはキョロキョロと楽しそうに辺りを見渡した。
あこも白が好きだから、なんとなく嬉しい。

「うん。だってさ、白い物って、なーんか落ち着かね?」

『うんうん!分かる気がするっ☆』

本当に真っ白。
雪が降り積もった様だった。

去年のX'masに過ごした部屋とは生反対。

黒と灰色で統一された部屋。

あっちゃんの部屋。
辛い事も、幸せな時間も全部あの部屋に置いてきた。

初めて大好きな人の腕の中で大人になったのも、あの部屋。

この真っ白な部屋は、今のあこにはまだ眩しすぎる…