Snow Drop～天国への手紙～（上）【実話】

「…うん。
二月頃に咲くんだ。だから…だから……」
あっちゃんは言葉を詰まらせた。

「あこ？」
あこの名前を呼びながらしゃがみ込んでいるあこを両手で持ち上げて立たせた。

「…話があるんだ。」
あっちゃんは今までに見せた事のない、真剣な顔をしていた。

あこは目を反らしてしまう。
『…嫌。聞きたくない。』

あこの口から思いがけない一言が出る。

だって、あこはこの時、この瞬間に、予感してしまったから…
あっちゃんが今から何を告げようとしているのかを…。

あっちゃんは、うつ向くあこの顔を両手で包んで、自分の方を向かせてあこをじっと切ない目で見つめた。

その目は微かに涙がにじんでいた。

あっちゃんは、何も言わず、あこの目を見て首を横に振った。

“だめだ、聞いてほしい…”
そんな目をしていた。

『…あっちゃんは…あこを嫌いになっちゃったの…？』

先に沈黙を破ったのはあこだった。

あっちゃんは、さっきよりも大きく首を横に振った。

「あこ？…いいか？
ちゃんと聞いてな？」
あっちゃんの目を見ていたら逃げれなかった。

…コクン。
あこは静かに頷いた。