Snow Drop~天国への手紙~(上)【実話】

「…あこ、今日はやっぱり帰るよ!」

エリが歩いていた足をぴたりと止めた。

『えっ!!…どうして…?』

あこはエリの顔を見つめた。

「だってさぁ…ホラッ☆」
エリは、あこの家の方向を指差して、あこにウインクをした。

『…?』
エリの指先を目で追い掛けた。

―――――――!?

黒くて、車高の低いセダンの車。

『…あっ…』

急に体が熱くなった。あこの家の前には、あっちゃんの車が停まっていた。

「フフッ…(笑)
じゃあねっ☆また明日ねっ?」

エリはくるっと方向転換して、自分の家に帰って行った。

あこは、重い足を、あっちゃんの車の方へ、一歩…また一歩。
歩いていく。

ガチャ…
「あこ!」

車のドアが開いて、あっちゃんが出てきた。
…きゅうっ。

胸が締め付けられた。
だって、昨日とは別人のいつもの優しい目をした笑顔のあっちゃんが、そこにいたから…。

自然と涙が出てきた。
やっぱり昨日のは夢?あっちゃん…。