「あこちゃん、ありがとうね?」

2人きりになった途端に、おばちゃんが口を開いた。

『えっ?何が?』

お礼を言われる様な事、何もしてないよ?

「あこちゃんと付き合う前のアツシはね、私と口もきいてくれなかったの…

家にも帰らない、電話にも出ない…でも、1ヶ月位前から急に毎日帰って来る様になってね。」

『そうなのっ!?』

「うん、それから“ただいま”とか“おはよう”とか言う様になって、今じゃ“何か手伝おうか?”なんて言う日もあるのよ!」

おばちゃんから伝わって来る。

大きな、大きな…嬉しいという気持ち。

「その1ヶ月前って、あこちゃんと付き合い始めた頃よねぇ?違う?」

『…うん!』

「ほらねぇ~やっぱりねぇ~!!」

両手を顔の前でパチンと合わせて笑うおばちゃんが、可愛くみえた。