偽りの翼Ⅱ






どこに?



そう聞きたかったけど
   


「いって、らっしゃい?」



曖昧にそんな返事をしていた



「ああ」



千尋くんは走っていった




「いっちゃった」




なんだか取り残されたような悲しさがこみ上げた





倉庫に戻ると、みんなが雑魚寝をしていた





「おかえり、花恋。……千尋は?」

 


たった一人だけ、裕翔は起きていた




「なんか、どっか行っちゃったよ?」