別れるための28日の蜜日

「おかえりなさい!」

帰ってきた律人が一瞬引くくらいなハイテンションで出迎えてしまった。

「お、おぅ。ただいま」

流石に恥ずかしくて、コホンっと意味不明な咳払いで状況を立て直して、律人に話しかけた。

「今日は早かったんだね。一緒に夕飯食べれると思ってなかったよ」

「あぁ。先週の忙しさはひと段落したから」

「そっか。じゃあしばらくは少しヒマになる?」

「いや、ヒマってとこまではいかないな。でも決算まではそんな忙しくならないかな」


そっか。いっそ、忙しい方が良かったのにな。その方が気が紛れるだろうし。


「へぇー。ね、先にご飯でいいでしょ?用意するね」

気付かれないように心の中でそっとため息をついて、夕飯の用意をする為にキッチンに向かった。

そんな私の後ろ姿をどんな表情で律人が見ているかも気にせずに。