別れるための28日の蜜日

本気でどうしようかと考えていたら、どこかから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

「百合!百合、どこだ!?」

声を出しそうになって、慌てて両手で口を押さえた。

相沢さんがまだ近くにいるかもしれないのに、なんでそんな大声で呼んでんのよ。

そのまま蹲っていたら、目の前に律人が現れた。

「上着も着ないで何、外に出てんの!風邪引くだろ」

怒ったまま、上着やマフラーをどんどん着せてくる。

「いやぁー、なんか誤解させちゃイケないなぁと思ったら、さ」

へへっと誤魔化すように笑うと、律人は怒気を含んだため息を大きく吐き出した。

「それにしても考えなさ過ぎでしょ。いま、2月なんだよ?しかも昼間でもないのに」

「うん、ごめん。で、相沢さんは大丈夫だった?なんか仕事相手のお嬢さんなんでしょ?」

縁談の事なんて何にも知らないフリでサラっと聞いてみた。