別れるための28日の蜜日

穏やかなプーさんの中身が赤ずきんの狼だった、みたいな衝撃。

そう思うと、いつもと同じはずの微笑みさえ黒く思えてくる。

「そんな僕の生き方なんて、どうでもいいよ。今は山内さんの話でしょ?
僕が会社の人に関心持つなんてかなりレアな事だから自分でも驚いてるんだけどさ」

「あ、あの。じゃあ、頼みごとしてもいいですか?」

なんとか持ち直して、町田さんに話しかけた。

考えてみたら、善良を前面に出してる町田さんより今の町田さんの方が頼みやすい。罪悪感だって感じずに済む。

「うん。ちょっと場所、移動しようか?」

簡単には終わらなそうだと察してくれたのか、近くの店に誘ってくれた。

歩いてすぐのところにあったのは昔ながらの喫茶店。ひとつひとつの席がゆったりとしていて、隣の会話が気にならない造りだ。ここなら落ち着いて話せそう。


私は大きく深呼吸をして、初めから説明した。