別れるための２８日の蜜日

「無理に話すことないよ。とりあえず甘いもの食べて癒されようよ」

町田さんはミルクティーを飲み切ってゴミ箱に捨てると「じゃ、定時上がりで」と言って席に戻っていった。

最後まで気遣わせてしまった。申し訳ないけど、ありがたい。

そうだな、思いっきり食べて癒されよう。律人が帰ってきた時、また笑顔で「おかえり」が言えるように。

グイッと缶コーヒーを煽って、私も席に戻る。

こんなに気遣ってくれた町田さんを待たせるのは申し訳無さすぎる。仕事をちゃんと終わらせないとだから。





‥‥と思っていたのに、午前中からグダついた仕事は思ったより量があって、結局少しだけ待ち合わせに遅れてしまった。

私は会社から一緒に出てもいいと思っていたけど、良い人町田さんは私の彼氏への気遣いも忘れていなかった。

誰かに誤解されるといけないから、とお店の近くでの待ち合わせを提案してくれたのだ。