別れるための28日の蜜日

パーティーからの帰り道、律人の話に笑って相槌を打ちながらも気持ちが沈んで切り替えられない。

「ごめん、なんか疲れちゃったから今日は自分の部屋に帰るよ」

このまま一緒に律人の部屋に帰って泊まる予定だったけど、今はとりあえず1人になって落ち着いて考えたい。

「知らない人ばっかりだったから気疲れして楽しめなかったんだな。百合、ごめんな」

律人の労わりさえ、苦しくて、私はふるふると首をよこに振っただけだ。



部屋に帰った私はそのままうつ伏せにベッドにダイブした。

「疲れた‥‥‥」

惰性でいってみるけど、頭の中ではさっき見た場面や聞いた話がグルグルしている。

「律人には結婚の話が出ててるけど、私はなんにも聞いてない。で、律人自身は別人な専務様になっちゃった」

事実だけを淡々と口にしてみると、底なしに落ち込めそうだ。