別れるための28日の蜜日

さすが一流ホテル。その辺のバイキングとはレベルが違う。

普段ならガツガツいってしまいそうな料理だけど、雰囲気にのまれてるのと着慣れないドレスのせいで、少しずつつまむくらいしか出来ない。

残念だと思いながら味わっていると、律人の名前が聞こえてきて、声のする方に顔を向けた。

そこには着物を着た品の良いおば様2人が世間話をしている。

「‥‥‥だそうですって。これでお祖父様も安心なさるわ。悠人さんが結婚されてからは、ずっと律人さんの結婚ばかり心配されていたから」

「本当に良かったわ。これで律人さんの立場も一安心ですわね」




ヒュッと自分の喉が音をたてたのを聞いて、我に帰る。


律人が、結婚?誰と?


結婚して律人の立場が一安心って事はどっかのご令嬢だろうか?どっちにしろ、親子揃って普通の会社員な私が相手って事はない気がする。