別れるための28日の蜜日

マンガのようにカチカチに固まった自分が想像出来て、思わずぶるっと震えた。怖い、怖い。

「そんな大したもんじゃないんだよ。みんな友達とか恋人とか連れてくるから見た事ない人もいっぱいいるし。だいたいさ、俺は悠人兄とちがって本家の跡取りじゃないから、みんなに気にされてないから」

ホントにぃ?っと視線だけで問うと、律人は首を縦にコクコクと振って笑う。

「だから硬く考えないでさ、行こう。シャインホテルでやるから、料理が上手いんだ」

シャインホテルの料理かぁ‥‥それは正直そそるな。あんな高級ホテルに行く事なんてなかなかないし。

食欲に目のくらんだ私は、ドレスはプレゼントするからと言う律人のプッシュに押されて、行く事にした。


当日は朝からど緊張。どんなに素敵なドレスを着たって白鳥さん達の中にアヒルが紛れ込んでる事実は変わらないんだし‥‥。

「なんか胃が痛いかも‥‥」

独り言さえ暗くなる。