別れるための28日の蜜日

帰り道もずっと飯島君の話が頭の中でぐるぐるしてる。

海外ってどんな話なんだろう。いつから?どのくらい?どこに行くの?

疑問は沢山浮かぶけど、当然1つも答えなんて分からない。ただ、私には話してもらえなかったって事実だけが心に重く残る。

「だから、だったのかなぁー」

ぽつりと呟いたら、ポツリと涙も溢れた。

律人が転職しようが、御曹司だった事が発覚しようが、私達が3年も付き合ってて30になった事は変わらない。
だから私が結婚を意識しているのも変わらない。

でも律人の環境の変化が落ち着いてからじゃないと、そんな話も出ないだろうと思っていたから、焦ってはいなかった。

「年末にさ、俺の一族の集まりあるんだけど百合も来てみる?」

だから律人からのそんな誘いにも全然深読みなんてしなかった。

「一族のってイナガキの創業者一族でしょ?そんなトコロに私が行ったら場違いだよ。」