別れるための28日の蜜日

そのまま、そおっとケースを開けると、一粒ダイヤの指輪が入っていた。ダイヤを支える台座が花びらのようになっている甘めのデザインがとても可愛い。若くて可愛い相沢さんみたいな人に似合うデザインだ。

「こんな可愛い指輪、私には似合わないなぁ」

呟いてから、自分の声に湿度を感じた。
泣く前に、と急いでケースを閉じて箱に戻し、書斎から出た。

あんなキラキラした幸せの象徴みたいな指輪にこんな悲しい涙を見せちゃいけない。見せちゃったら幸せが曇ってしまう気がする。

そのままベッドに潜り込んで、わんわん泣いた。声も抑えず、何の我慢もせず気持ちのままに泣き続けた。

「律人ぉ‥‥り、つとぉ‥‥‥」

しゃっくり上げながら嗚咽の合間に律人の名前を呼び続けた。

今になって分かる。私は自分の恋心を、なめていたんだ。無理やり終わらせても、長い時間さえかければ思い切れるって。相手の幸せの為に我慢出来るって。別れたってちゃんと社会人として生活していけるって。

でも、そうじゃなかったんだ。私は律人が好きで好きで大好きで、その気持ちの前では他の事なんてどうでもよくなるくらい好きなんだ。