別れるための28日の蜜日

キチンと付いたデスクと、沢山の書類。題名を読んだだけで遠慮したくなる本と、部屋の隅に積まれた経済誌。

律人は休日や帰宅後にもここで仕事してるんだ、とその大変さを考える。

御曹司なんて良い事ばっかりに思ってたけど、実際に知ってみると良い事より大変な事の方が多いんだろう。羨まれる立場なんて、実際その立場に立てば羨ましくもなんともないものだ。


「この辺だったとおもうんだけどなー」

上から順に引き出しを開けていくけれど見つからない。

もう諦めようか、と最後に開けたサイドテーブルの引き出しには多機能ナイフと白くて小さな箱が入っていた。

開けちゃダメだって思う。そう思うのに、震える指が小さな箱に引き寄せられる。

私の手のひらに収まるほどの小さな箱。そっと持ち上げようとしたら、カパリと蓋が取れた。

小さな箱の中には黒いベルベットのケース。

なにも考えられないまま、自然と私の手はベルベットのケースを持ち上げていた。