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それは、刺すような冷たさが目立つ12月のこと。

吐く息は白く、マフラーや手袋が必須な冬。

そんな冬に、私は浴衣姿にカーディガンを羽織るだけの姿で、トイレの鏡の前に立っている。


「わぁ……バサバサだ……」


すっかり伸びきった手入れされていない黒髪を指で弄り、苦笑いを浮かべた。


そう、私、朝霞 風花(あさか ふうか)はここ、小児病棟で入院している患者だ。


子供の頃にかかった感染症が原因で心臓の血管に瘤というものができている。


破裂すれば死に至る、いわば爆弾を抱えて生きていた。


私の瘤は大きくなっていて、

瘤が血管を狭めてしまっているために、

小さい頃から心臓に負荷をかけるようなスポーツは出来なかった。


そして高校3年生の冬、

日常生活でも胸の痛みが起きるまでに悪化した私は、

3日前に検査をしてついに、手術が適応になってしまった。