「つか、お前だってなんだそれは……」


私の目の前には、トマトのリゾットに、ほうれん草のソテーがある。


「え、何かおかしい?」


「ここまで来て、なんで病院食なんだよ。それ、おかゆみてーなモンだろ」


「これはリゾットだよ」


病院食と一緒にしてほしい。

リゾットは立派なイタリア料理なのに……。

あれ、でもなんか見てると……。


「ぷっ……ふふっ、本当だっ」


うん、お粥に見えてきちゃった。

どうしよう、なんか笑いが次から次へとこみ上げてきちゃう。


「あ……ハッ、だろ?」

「うんっ、あははっ」


なんか、ツボに入っちゃった。

確かに、こんな時くらい、ハンバーグでも頼んだら良かったかな。


「でもなっちゃん、これからいつ落ち着いて食事出来るか分からないんだし、なんか食べた方がいいよ」


「あぁ?いらねー」

「もう……ほら」


私は、自分のトマトリゾットをスプーンで掬って、なっちゃんの口元に持っていく。