『6月20日 宮西と日直、澤田に失恋する。
 6月22日 宮西とバスケの話をする。』


そんなような調子で、ただ事実だけを淡々と述べた日記だった。日付も毎日ではない。


はっきり言って、後から見返しても面白いと思えるような日記ではなかった。

書かれていたのは出来事のみで、それに対する大嶋の考えなどは一切書かれてないからだ。


ただその出来事は、全て私に関する出来事だった。もちろん全て大嶋の書いたものだが、一行ごとに微妙に筆圧が違うため、都度書いていたことがわかる。


大嶋がどうしてこんなものを書いていたかはわからない。だけどこれをタイムカプセルに入れた理由はなんとなくわかる気がした。


『3月8日 思い出をタイムカプセルに入れる。

3月14日 どんな結果になるかはわからない。だけど気持ちは全て伝える。』


大嶋の心の中を表す文章は最後の行だけだった。

私は読み終わってから大きく息をつく。


彼は15年も前から、中学校時代の私への恋心と別れを告げていた。