少しイライラしつつも、わたしはすぐ側にあった救急箱に手を伸ばし、脱脂綿と消毒液を取り出す。
消毒液で脱脂綿を湿らせると、消毒液特有のツンとした匂いが鼻につく。
「…ねぇ、なんで1人で掃除してたの?」
先輩が、わたしの顔を見つめておもむろに聞いてきた。
なんでわたしが1人で掃除してたことを知っているのかと疑問に思ったけれど、
あぁ、この先輩ずっとあのベッドで寝ていたのだったと思い返す。
「昨日、掃除忘れて帰っちゃって。…それの罰です」
「へぇ、サボったの。なに、デート?」
「………………違います」
初対面の、ましてや女の子になんてことを聞いてくるんだ、と抗議の意味を込めて、
思わず消毒液を染み込ませた脱脂綿を強めに傷に押し当ててしまった。
そんなわたしの姿を見て、先輩が「痛い」と小さく呟きながら、肩を震わせてクックと笑っている。

