「葵・・・」



額にかかる漆黒の髪をそっと払う。



今まで看護師が座っていた椅子に腰をかけると手にしていた書類を見始める。








しばらくして葵が身動きした。



ぼんやりした表情で自分を見ている。



「紫月・・・」



かすれた声しか出ない。



気を失ってから初めて目が覚めた。