「おい、止まるなよ」 「ぅわぁ!」 突然耳元で聞こえた声に、私は軽く飛び跳ねて驚く。 「な、なんだ陵汰か…」 「なんだってなんだよ」 少しカチンときたのか、苦笑いをしながらずれた眼鏡を指で押し上げる。 私より二段後ろに立ちながら、背中を押してくるのは、同級生の『加佐原 陵汰』 だった。 去年偶然席まで隣になり、話しているうちに妙に気が合って、一緒に行動するようになったうちの1人。