恵里香に庇われながら学校にたどり着くと、半分引きずられるようにして保健室前に連れられていた。
「ま、待って恵里香!」
「なに?」
私の右腕を引きながら先を行く恵里香が振り向きざまに返事をする。
「なんか大丈夫かも…」
「え?」
恵里香は首をかしげながら素っ頓狂な声を出す。
「具合、良くなったんだけど」
「…はぁ?!」
意味わかんないとでも言いたげな顔で、保健室の一歩手前で立ち止まる恵里香。
「今の今まであんなにヨロヨロだったのに?気のせいじゃないの?」
「んー…」
でもさっきまでの頭痛と吐き気は無いし、スッキリしたし。
むしろさっきまでが気のせいだったんだよ。
「……うーん、でもまぁ…言われてみれば顔色も良くなったような」
私の顔をのぞきこんで恵里香が言う。
「はら、やっぱり大丈夫だよ!」
「それならいいけどさ」
「ほらもうチャイムなっちゃうから、早く教室いこ?」
「はいよ」
さっきまでの気持ち悪さが嘘みたい…
2年生の教室へと続く階段を登りながら、私は軽くなった身体を少し動かしてみる。
やっぱりなんともない
歩く度にぐわんぐわんとした頭痛も、人が動くのを見ただけで湧き上がってきた吐き気も、全て嘘のように消えている。
治ったならそれでいいんだけど、やっぱりちょっと…

