「大丈夫だから、早く支度しちゃって」




そう言いながら新聞紙を広げて、そこにガラスを置いていくお母さん。



「でも…」




言いかけて視線をあげた時だった。





「いたっ!」




人差し指に鋭い痛みが走る。


「ほらー、結花の方が危ないじゃない」



「なによー」



切れちゃった…



私の指先には、まだ新鮮な血が直径1センチほどの傷から滲み出ていた。




破片を踏まないように注意して、お母さんの横を通り越して洗面台へ。



お母さんの言う通りに、血をティッシュで拭き取った後で絆創膏を貼る。



(これでよしと、)









最近乾燥してきて手もカサカサなのに、絆創膏貼ったら余計痛々しくなっちゃった。


あ、これから顔洗うんだから防水にしとけばよかったかなぁ…



そんなことを思うと、どんどんと思考はマイナスに。


私は大きなため息をついた。




「支度しなきゃ…」













「なんだか朝から忙しいなぁ、今日は」



そう呟きながら