「え?」






私は起きているのかすらわからない状態から、はっと意識を取り戻した。




「っはぁ…」



いつの間にやら目一杯吸い込んでいた息を思い出したかのように吐き出す。





















あの子、誰?



私はつい5秒前まで見ていた夢のことを考える。




なんて言ってたんだっけ?








頭がぼーっとする。






なんだろ…さっきまで何か夢を見てた気がするんだけどな。












思い…出せない








思い出そうとすればするほど、私の記憶は口から耳から鼻から、空気中に溶けるようになくなっていく。









残ったのは、女の子の淡い印象だけ。









「……」






なんだか不思議な感じの夢だったな。








その時の私は、「たかが夢」くらいにしか思っていなくて、もう思い出そうという気すら持っていなかった。