「そういえば、今日って何時から始めるの?」







陵汰の違和感から20分程経ち、ホールにいる生徒も疎らになってきたので、もうそろそろ教室に戻ろうという雰囲気が出てきていた頃。




真希が飲み終わったパックのゴミをゴミ箱に捨てて戻って来た時、私達に向かって投げかけてきた質問だった。








「そうだね。先生に見つかると怒られるだろうから、集合場所とか気をつけた方がいいかも」





と私が言うと、







「じゃあE組横の階段なんかどうだ?あそこなら生徒しか使わないし、その前にまず人が通らない」







翔が生徒手帳を開いて、階段を指さす。




その階段は、はっきり言うと陰気臭い。
あまり日差しが入らず薄暗いのとトイレの横(全部の階段がそうなんだけど)というのもあって、生徒の私でさえまだ数える程しか使ったことがない場所だった。

確かにここなら生徒はおろか先生の心配はいらない。






「よし!じゃあ午後4時半にそこ集合ね」

と玻璃。


「おれら用事あるから先戻るな」





それだけ言い残すと、玻璃は優介と共にそそくさとホールから出ていった。

















残された私達は二人が出て言ったホールの扉が閉まるまで見送った。




「あいつら、何するかくらい教えてくれたっていいのにな」






陵汰は横目でホールから見える廊下を見てそう言うと、またメガネを押し上げたのだった。