「陵汰くん、どうかしたの?」
陵汰の視線に気づいた恵里香が、私の耳元で囁く。
「さぁ…なんか違和感があるんだって」
「…違和感?」
恵里香がサンドイッチを持った手を止めて、訝しげに聞き返す。
「私もよくわかんないけど、まぁほっとけばいいよ」
こういう陵汰は放っとくのが一番。
変に構うとめんどくさい奴だからね…
「陵汰!なにそんなにこっち見つめてんだよ、早く食っちまおうぜ」
そんな私と恵里香の会話を無視して、卵焼きを頬張った優介がこちらに向かって大声で話しかけてくる。
あのバカ…
陵汰は自分の気になることができたらすぐ突っ走るんだから、そーゆー事言わないで…
前もいきなり「メロンパン作りたい!」なんて言い出して、家で何十個も作りまくったときだって、みんなで消費するの大変だったんだから。
だけど、
「あ…いや、そうだな。悪ぃ」
(あ、あれ?)
そんな私の予想は見事に外れて、陵汰は苦笑いをすると、思い出したかのようにメロンパンを手に取ったのだった。
「…陵汰変なの」
「あいつがメロンパンを忘れるなんてな…」
玻璃と翔も私と同じ感想を持った様子。
一方真希はというと、一番端に座って相槌をしながら、ウーロン茶をストローで吸い上げていた。

