「ねぇ知ってる?」








誰かが私に問う。










「うちの学校ってさ、七不思議っていうか…都市伝説あるの」




誰?




「なんでもね、誰もいない校舎で数人…多いほうがいいけど、10人くらいで鬼ごっこをすると、1人増えてるんだって」






なにそれ…









私はぼーっとした意識の中、彼女の話に耳を傾ける。






「そしてその事に気づかないで鬼ごっこを終えると」











「その子は友達として、輪の中に溶け込んでくるの」












なんだろうこの感じ…

水の、中?








彼女は更に声を潜めてこう続ける。







「そしてその夜もう一度、今度は学校で。カクレオニをしようって誘ってくるんだって」






「そのカクレオニで捕まった人は」









ん…




急に頭にモヤがかかったように視界がぼやけていく。





「まっ…て」



最初からはっきり見えなかった目の前の女の子の顔が、声が、更に小さくなっていく。



それが私は無性に嫌で、いつの間にか腕を必死に伸ばしていた。



そしてそのまま、私は水の中に吸い込まれていった。