あたしは無理やり笑顔を作ってそう言った。


「なんだよ、ほしいならやるぞ？」


大雅はそう言い、ほほ笑んだ。


その笑顔にひとまず胸をなで下ろす。


どうやら何も気が付いていないようだ。


いや、仮にスマホをいじっている所を見られたとしても、写真を加工しているようにしか見えないだろう。


大丈夫、バレることは絶対にあり得ない。


自分自身にそう言い聞かせると、ようやく安心して笑う事ができた。


「なんだよ、嬉しそうな顔して」


「嬉しいよ。だって大雅がレギュラーに選ばれたんだもん」


「当たり前だろ？　誰よりも練習してきたんだからな、俺は」


そう言い、大雅はあたしを抱きしめた。


「そうだよね、大雅は頑張ってたんだもん」


「あぁ。試合、絶対に見に来いよ？」


「もちろんだよ！」


その後、大雅の口から琉斗の話が出る事はなかったのだった……。