それから大雅が目を覚ますまで、あたしは大雅の部屋の写真を眺めていた。


写真の中から琉斗の姿が消えている。


よくよく見れば遠くにサッカー部のユニフォームを着た琉斗がいるのだが、それはいつもベンチ内だった。


それを見て内心あたしは驚いていた。


大雅と琉斗の関係が切れると言う事は、過去まで大きく変えてしまうということだ。


そしてそれは、大雅がベンチにいるような過去でも不思議ではなかったということ。


先に琉斗の足を切り取ったから今のような結果になったが、切り取る順番を間違えていればサッカーの才能に少しだけ劣っている大雅がベンチ内にいることになっていたかもしれない。


そんな結果になっていれば、あたしが大雅の夢をぶち壊すことになっていたのだ。


「切り取る順番も大切なんだ……」


写真を見てそう呟いた。


「なに、見てんの?」


後ろからそう聞かれてハッと息を飲んで振り向いた。


いつの間にか大雅が目を覚ましてあたしの後ろに立っていたのだ。


いつからそこにいたの?


あたしの挙動がおかしいと気が付かれただろうか?


全身からブワッと冷や汗が流れ出す。


「写真をみてたのか?」


「う、うん。大雅の練習写真……」