大雅が眠っている間、あたしは大雅の部屋を見回していた。


机の前の壁に固定されているホワイトボードには、沢山のサッカーの写真が飾られている。


大雅が大好きな選手の写真もあれば、自分たちの試合風景を切り取ったものまで様々だ。


サッカー部の集合写真を見ると、大雅の隣にはいつも琉斗の姿が映っていることがわかった。


肩を組んで、いい笑顔だ。


ライバルであり、親友であるというのはこういう2人のことをいうのだろうと、あたしは思っていた。


あたしは大雅と琉斗が2人で写っている写真を手に取った。


2人がボールを取り合っている所だ。


同じように汗を流して頑張っている。


その写真を見つめていると、大雅が大きく寝返りをうつ音が聞こえてきて振り向いた。


大雅は眉間にシワを寄せ、とても寝苦しそうだ。


あたしは写真を手に持ったままベッドわきに座った。


大雅の額に浮かんでいる汗を指先で拭う。


「琉斗……なんで、お前が……」


苦しそうにそう呟く大雅に、あたしはピクリと反応した。