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大雅は琉斗が入院してから毎日病院に行っている様子だった。


その度に琉斗の様子を聞いていたから、覚悟はできている。


琉斗の両足を切断したのはあたしだなんて、誰も気が付いていない。


それでも病院に入るとやっぱり緊張していた。


誰かがあたしのやっている事に気が付いて、取り押さえられるんじゃないかと言う不安が出て来る。


琉斗の病室の前まで来て深呼吸をした。


この3人の中ではあたしが一番面識があるから、あたしがドアをノックしなきゃいけない。


「心、すごく緊張してるけど大丈夫?」


紀子にそう言われて、あたしは笑顔を作った。


「大丈夫だよ」


簡単に答えて、ドアをノックする。


中から返事が聞こえてきて、あたしはドアを開いた。


個室の窓から眩しい太陽の光が入ってきていて、あたしは一瞬目の前が真っ白に見えた。


「心?」


白い部屋の奥から大雅の声が聞こえてきて、あたしは一瞬たじろいた。


目が慣れて見て見ると、ベッドの横に立っている大雅と、パイプ椅子に座っている楓先輩がいた。


「あ……こんにちは」


あたしは楓先輩へ向けて軽く会釈をした。


楓先輩は「こんにちは」と笑顔を向ける。