愛の部屋で3人でお弁当を広げて食べる。


それはとても新鮮なことで、なんだか嬉しくなってきてしまう。


昼食を食べ終えて一息ついていると、愛が部屋を出てクッキーを持って戻ってきてくれた。


「心、今日はお母さんが家まで送ってくれるって」


クッキーをテーブルに置きながら愛はそう言った。


「え、そんな、いいよ」


ブンブンと首を振って遠慮するあたしに「遠慮しないで。心を1人で帰らせる方が心配だから」と、愛。


「そんなに心配しなくても、大丈夫なのに」


「お言葉に甘えさせてもらいなよ。今日も1日中ボーっとして、先生に呼ばれても全然気が付かなかったじゃん」


紀子にそう言われて「え、先生に呼ばれてた?」と、聞き返した。


そんなの全然覚えていない。


「ほらね。だから心配してこうして3人だけの時間を作ったんでしょ?」


紀子が愛にそう聞くと、愛は照れたようにほほ笑んだ。


「実はそうなんだよね。外じゃ言いにくいこととかもあるかもしれないし。それなら内に呼んじゃおうと思って」


「愛……」


あたしは驚いて愛を見た。


そこまで考えてくれているなんて思ってもいなかった。