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不安は残ったままだったが、とにかくあのアプリは二度と起動させないと、心に決めた。


それから数日経っていたけれど、特に変化は訪れなかった。


ウイルスなどが入っている心配もなさそうだ。


「心、これ」


学校にとうこうしてきてすぐ、大雅がチケットを手渡して来た。


来週末に行われる試合のチケットだ。


「ありがとう大雅、絶対に応援に行くからね」


「おぉ。今日からは部活も休みなしでみっちり練習ができるんだ」


大雅は嬉しそうにそう言った。


普通なら休みなしの練習なんて文句が出てきそうなのに、大雅は文句なんて絶対に言わない。


好きで好きでどうしようもない事を毎日できるなんて幸せだ。


そう言って、汗にまみれた顔で笑うんだ。


あたしはそんな大雅が大好きだった。


「お弁当作って行くね」


「あぁ、いつも悪いな」


「あたしにできる事なんて、そのくらいだからね」