「誕生日パーティーでちょっとはしゃぎ過ぎたんでしょ?」


「そうかもね」


あたしはそう言い、笑顔を浮かべた。


誕生日パーティー……。


確かにあの日までは紀子と愛はいつも通り仲が良かったはずなのに……。


そこまで考えて、ふと誕生日に送られてきたアプリを思い出していた。


《切リ取リマスカ?》


その何の感情もこもっていないような文字を思い出す。


「切リ取リマスカ……」


「え? なに?」


紀子が不思議そうな顔をして首を傾げる。


しかしあたしはその声が届いていなかった。


「2人ノ関係ヲ切リ取リマスカ?」


あの時、画面上には確かそんな文字が出ていた。


あたしは《イエス》をタップした……。


「まさか……」


「ねぇ、心、本当に大丈夫?」


1人言を続けるあたしに紀子は心配そうな顔になった。


それでもあたしの脳裏にはあの画面が一杯に蘇ってきていて、紀子の声は聞こえない。


まさか、あのアプリが関係してる?


あたしが紀子と愛の間に線を引き、2人の関係を切り取った……?


だから写真に変化が起きて、みんなの記憶も切り替わってしまったとか?


「まさか、そんなことないよね」


考えれば考えるほど現実離れしていて、あたしはそう呟き、1人で笑ったのだった。