息が切れて肺が痛い。


汗が流れおちてコンクリートを濡らして行く。


それでもあたしは足を止めなかった。


もうすぐ大雅に会えると思うと、なんだかすごく嬉しい気持ちになっていた。


賑やかな街並みが見え始めたころ、あたしはようやく歩調を緩めていた。


沢山のお店が立ち並んでいる中、ゲームセンターへ向けて足を進める。


「心!」


そんな声が聞こえてきて視線を向けると、ゲームセンターの前で愛と紀子が立っているのが見えた。


「2人とも……!」


あたしは2人に駆け寄った。


「心、走ってきたの?」


紀子が持っていたジュースを差し出してくれた。


あたしはそれをひと口飲んで大きく息を吐き出す。


少し、落ち着いたみたいだ。


「うん。大雅は?」


そう聞くと、2人は急に無言になり目を見交わせた。


なにか言いにくそうな雰囲気だ。


「中にいるんだよね?」


あたしがそう聞くと、紀子は「うん」と、小さく頷いた。