「だけどあいつと連絡取れねぇんだよ。お前彼女だろ? なんとかしろよ」


緑髪の男にそう言われ、肩を叩かれる。


「なんとかって……」


そう言われても、あたしは大雅に幻滅してここに来たのだ。


それに8万円なんて大金、あたしだって持っていない。


「別にさ、俺らは金で返してもらわなくていいんだぜ?」


金髪男がそう言い、あたしに顔を近づけて来た。


キスできるくらいの距離まで近づかれて、後ずさりをする。


「お前、結構可愛いし?」


金髪男の言葉に反応して、緑髪の男が「いいね、それ!!」と、拍手する。


「あいつばっかモテてマジむかついてんだよ」


「だよな。見せびらかすみてぇに毎日別の女連れてきやがって」


「揚句彼女は可愛いって、殺してやりたくもなるっつーの」


2人の言葉がチクチクとあたしの胸に突き刺さる。


毎日別の女……。


それはサッカーをしていた頃のファンの子たちのことだろう。


だとしたら、その中に楓先輩もきっと入っている。


「……大雅に連絡します」


あたしはそう言い、スマホを取り出した。


さっき別れたばかりだから、きっと連絡は取れすはずだ。


そう思っていたのに……。


いくら電話をしても、大雅が電話に出る様子はなかったのだ。