大雅と別れたあたしは大股で駅の方向へと歩いていた。


このまま帰るわけにもいかないし、学校へ行くような気分でもない。


大雅があんな事を言うなんて、あたしの人生で最低最悪の日であることに間違いはなかった。


駅の構内のベンチに座り、大きく深呼吸を繰り返した。


思い出すだけで怒りがこみあげて来る。


大雅はあんなことを言う人だったの?


少し違う運命を辿るだけで、あそこまで変わってしまう人だったの?


元はと言えば全部自分のせいなのに、大雅に騙されていた気分になる。


ライバルがいないからサッカーをやめる?


思い出すと笑えてくる。


試合で負けたくせに、校内でライバルがいないからサッカーをやめるなんて、とんだ甘えだ。


そんな人間がプロになれるわけがない。


最初の運命通りサッカーを続けていたって、きっと琉斗に勝つ事は永遠になかったんじゃないか?


あんな最低な男になるくらいなら、大雅を試合に出させることなんてしなくてよかったんだ。


琉斗に負けて、自分にも負けて、ずっと負け続けていればよかったんだ。


そうすればあたしも大雅に呆れて別れていたかもしれない。


あたしは膝の上でグッと握り拳を作り、下唇を噛みしめた。