「俺が何年我慢してきたと思ってんの? サッカーなんかしてたせいで、すっげぇ損してたよなぁ」


大雅の言葉が胸に突き刺さるのを感じる。


なんでそんな事を言うの?


サッカーは大雅にとってとても大切なものだったのに……。


「あ、でもサッカーしてたから心と付き合えたのか。ラッキーだよなぁ、学校で少し強いくらいで女子たちが嫌ってほどついてくるんだからさぁ」


大雅はケラケラと笑い声を上げ始める。


違う。


あたしの知っている大雅はこんな人じゃない。


あたしが好きになった大雅はこんな人じゃない。


「……噂は本当なの?」


小さく呟くようにそう言った。


大雅が降り返り「なにか言った?」と、聞いてくる。


「ファンの子と遊んでるって聞いた」



今度はハッキリとそう言った。


真っ直ぐに大雅を見つめる。


「あぁ。そうだよ?」


大雅はなんの躊躇も見せずにそう言ったのだ。


あたしは目を見開いて大雅を見つめた。


「な……んで……?」


「なんでって、心だってそうだろ? 俺のファンの一人」


ファンの一人。


確かにそうかもしれない。


だけどあたしは大雅の彼女でもあるはずだ!