走りながらスマホを取り出し、あたしは大雅に電話をかけていた。


お願い、電話に出て!


祈るような気持ちでそう思っていると、3度目の呼び出して大雅が電話に出た。


『もしもし?』


少しくぐもっている大雅の声。


「もしもし大雅? 今どこにいるの?」


『今、もう家に帰ったけど?』


家……。


その言葉にとりあえずは安心した。


「家に……1人?」


『あぁ。そうだよ。どうかしたか?』


嘘をついているとは思えない大雅の口調にあたしは歩調を緩めた。


どうしてサッカーをやめるの?


どうして楓先輩と帰っちゃったの?


聞きたいことはたくさんある。


あたしは大きく深呼吸をした。