大雅がサッカーを続けないと、あたしが琉斗から両足を奪った意味も、琉斗からサッカーの才能を奪った意味も、楓先輩から友達を奪った意味も、全部なくなってしまうのだから。


「それとさぁ……いつもここで見てた先輩いただろ?」


「……楓先輩のこと?」


「あぁ、あの人楓先輩っていうんだ? その人と大雅、2人で帰って行ったよ?」


男子生徒は言いにくそうにそう言った。


楓先輩と大雅が一緒に……?


なんで?


考えるより先に足は動いていた。


校門へ向けて一歩二歩を進み、あとは走るようにして学校を後にしていたのだった……。